皆さんもご存じの通り、肉用牛の場合は、20日(乳牛は21日)間隔では発情周期が回帰します。
繁殖農家さんは、この20日に1回来るであろう発情を、発見・種付けする事で妊娠させています。
では、どうやって発情牛か否かを見分けているのでしょうか?
実は発情期の母牛というのは、母牛同士が乗り合う「乗臥行動」という発情期特有の行動を取ります。
通称「マウンティング」や「スタンディング」と呼ばれ、これらの行動を発見すると発情確定となります。
しかし、ここで多くの方が勘違いされていることがあります。
「発情」の始まり終わりなどとよく言いますが、これはスタンディング発情のことを指し、マウンティングは含まれません。
例えば授精適期の話で、発情の終わり頃が授精の良いタイミングだというものがあります。
実はこの時に言われる発情というのは、スタンディング発情のことを指しています。
マウンティングをはじめ、頸管粘液や陰部の緩み、咆哮(大声でなくこと)などは、すべて発情「兆候」であり、「真の発情」とは区別して考えなければなりません。
下の動画が実際のマウティング行動です。
牛達は乗り合っていますが、乗られた後逃げているのが分かります。
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次にスタンディングの動画です。
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黄色の鼻環の牛が発情牛ですが、乗られた後逃げずに、じっと動かないのが分かります。
これが「真の発情」です。
一般的な発情期の乗臥行動というのは、マウティングから始まりスタンディングへと移行していきます。
マウティングが見られるときはまだ発情兆候に過ぎないので、この時期に授精してしまうとタイミングが早すぎて受胎率は下がってしまいます。
マウティングやスタンディングの順序は、自然の牛で考えると納得できると思います。
野生の牛群では、雌の群れの中に雄牛(種雄牛)がいます。
雌牛の発情期の乗臥行動というのは、雄に発情期を知らせるサインと考えて下さい。
人がいない自然の状態で性交が成立するのは、雄が乗臥した際に雌牛が逃げずに雄を許容する必要があるのです。実はその時期がスタンディング発情と言えるのです。
スタンディング発情とは、言い換えれば「雄の許容」のことを指します。
皆さんもこれを機に、真の発情と発情兆候を区別して考えることをお勧めします。