この哺乳スピードの計測を始めたのは、一般的な農場の哺乳法で「ちびちび哺乳」になっているのか?を調べる目的がありました。
そして実は、もう一つ別の目的がありました。それは、個体ごとの哺乳スピードの計測により、早期の病畜の発見に役立つのではないのか?、体調管理の目安になりうるのかを検討したかったのです。
実際に日々計測していると、あれ?少し飲むのが遅いなと感じて飲み終えた後に検温してみると、実際に熱があったなどと役立つことが多々ありました。
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この仔牛↑は、日々の哺乳スピードは、1分~2分30秒/2Lで飲み終えているのが分かります。
それが、ある月の26日の午後と27日の午前に3分半くらいかかっています。明らかに遅くなっているのです。
そこでスタッフさんが検温すると、体温40.4℃と熱発し、風邪との診断のもと加療しました。
その日の午後には、2分30秒くらにまで戻っています。多分熱が下がったのだと思います。
このように、哺乳スピードと仔牛の体調がリンクし病畜の発見に役立ったこともあります。
しかし、実測していて疑問を持つことにも遭遇しました。
それは、逆に飲むスピードが速すぎる事例にちょこちょ遭遇するのです。
先ほどのように、毎日測定していると、この個体であれば何分くらいで飲み終えるか分かってきます。しかし、たまに圧倒的に早く飲み終える個体がいて、スタッフさんにお湯の量が合っているのかを確認するほどでした。

上の表を見てみると、この個体は2.5Lを2分30秒くらいで飲み終えているのに対して、3/20・22の午前は、2分を切っています。
このようなケースは、他の個体でも見られており、よくよく調べてみると、乳首の劣化状態が原因だったことが分かりました。
実は、この計測を実施していた時期には、約10頭の子牛を哺乳していました。よって、使用している乳首も10個あり、以前から使用しているものから、最近買ったものまで混ざっていたのです。
これは、実際に哺乳している農場の方は分かると思いますが、特に哺乳バケツのタイプの乳首の場合、新しい乳首だと、ゴムが固く、ミルクを噴射するのにかなりの労力がいります。それが、使用している内に、だんだん軟らかくなって、簡単な力で噴射出来るようになるのです。
また、今回の哺乳速度が速かったケースの原因は、乳首の穴の亀裂でした。


左の写真が新しい乳首で、正常な穴の大きさです。
それに対し、右の黒い乳首の穴は、大きく広がっているのが分かります。
このような乳首が10個中2個あり、この乳首にランダムにあたった時に哺乳スピードが異常に速くなっていたのです。
大きな発見でした。
哺乳スピードの変化により異常な個体を発見しようというのに、乳首の違いから哺乳速度が変化していては、意味がありません。
牛ごとに専用の乳首を使用している農場では問題ないのかもしれませんが、日々の体調管理に役立てるには、哺乳器具を揃える必要があることが分かったのです。
つづく
