成熟卵子ができたら、受精(媒精)させます
卵子と似たように精子も受精する能力(受精能)を獲得する必要がありますが、卵子よりも短時間で終わります。
精液を媒精液に入れて2回ほど洗うと同時に受精能は獲得されます(卵子に比べ早!!)。
以下が洗浄後の精子の様子です
この精子と成熟させた卵子を混ぜて受精(媒精)させます。
精子の動画を見て、皆さんどう思いましたか?もっと活発に動いているイメージでしたか?予想よりも動いていましたか?
活発に動いている精子の割合が高いと体外受精率が高く、良い受精卵ができるかというと、そうとも限りません。ここからは少し専門的な話になりますが、
1998年鳥取県の研究では9頭の種雄牛の精液を使って、同じ媒精条件・精子数・活性(運動率)で体外受精した時の受精率、発育率(最終的に使える卵まで育つ率)を調べています。
その結果、受精率が最も高い種雄牛Aは51.9%で最も低い種雄牛Bは12.0%と大きな差があったようです。
さらに、受精率が高いからといって、発育率も高いわけではなかったそうです。ちなみにこの研究では受精率が低い種雄牛Bの発育率が9頭の中で最も高かったという結果がでています。
実際に体外受精をしていても、受精しやすい精液、発育しやすい精子はあって、
受精率の高い精液のことを「(卵子に)入りやすい種」とか言われたりしますね。
この研究をされた方は、ある媒精条件で受精能を獲得しやすい精液、しにくい精液があるのではないかと考察されています。
媒精環境・胚発生環境は牛の子宮内環境を真似たものであると考えると、実際の人工授精や採卵でもその母牛の子宮環境に適する精液や適さない精液あることも考えられます。
同じ種で人工授精して妊娠できない牛は種を変えることも受胎させる一つの方法ですね。