先日、夕方に「肥育牛が立たない。」とのことで往診依頼。
股割き(股関節脱臼)かな?なんて考えながら農場に到着すると・・・。
久々にビックリするほどの重症、というか瀕死の状態でした。
原因はこれです(閲覧注意)。
生後20ヵ月齢の去勢、体温41.0℃、 重度の脱水および貧血を認め、暗赤色水様便を排泄し起立不能。著しい仙痛症状および努責をみとめ、昏睡状態でした。
出血性腸炎に起因する敗血症と診断。
すぐに、血管を確保し加療するも翌日死亡。
原因は、コクシジウムおよびクロストリジウムの単独または複合感染だと考えられます。
しかし、一番問題なのは、農家さんの発見が遅いことではないでしょうか。
牛の状態から推測すれば、前日から起立不能だったことが推測されます。
こらから、秋口にかけて、肥育牛の夏の疲れが出てくるのに加えて、WCSや稲ワラの収穫が始まり、農家さんが1年で一番忙しい時期です。
発見が、遅くなればなるほど、症状は悪化し、治癒の転帰は延びていきます。
普段なら見落とさないような血便も、忙しいあまりに、見落としがちになるのです。
最悪のケースでは、今回みたいな悲劇にもなりえるのです。
この時期は、十分に注意して下さい。