尿膜管とは、胎児がお腹にいる時に胎児の膀胱と母牛の尿膜(一次破水の袋)を繋いでいる管のことです。
この尿膜管というのは、胎児の臍帯の中にあるのですが、普通はお産時に切れて無くなってしまいます。
しかし、稀にこの尿膜管が娩出後も残っている仔牛がいます。この病気を「尿膜管遺残」と言います。
この尿膜管遺残の仔牛は、臍と膀胱が繋がっていますので、臍から「オシッコ」をすることで発見されることが多いです。
臍からオシッコをするのみなら良いのですが、この尿膜管からバイ菌が入り、臍膿瘍や膀胱炎、腎炎などの発症リスクが高くなります。
そのため、この残った尿膜管を取り除く必要があるのです。
この尿膜管遺残の摘出手術を久々におこないました。
生後47日齢の黒毛和種のオス。
発熱と臍から出る尿に膿が混じるとのことで、エコー検査を実施したところ、広範囲に膿瘍を確認し、手術を決断。
鎮静をかけて、開腹手術となります。
臍の周りをくりぬき、膿瘍部を取り出します。
腸間膜や腹壁に癒着しているため、慎重に剥がしていき、膀胱との接合部を確認。
膿瘍と膀胱の先端部を切断。
後は、膀胱を縫合し閉腹すれば終了です。
↓↓↓が摘出した尿膜管(膿瘍)です。
自然治癒は不可能で、摘出しなければ生きられないほど大きな膿瘍でした。
所要時間が3時間超えの大手術でしたが、無事に治り元気になることを祈りたいです。