牛の角というのは、木の年輪のように牛の発育過程を表します。
強いストレスを受けると、角に「輪っか」のような窪みができます。
例えば、雄の子牛が生後5ヵ月齢前後で去勢される時には、「輪っか」ができます。そのため、セリ市場の去勢牛では、角に薄い「輪っか」が1本見られる個体が多いのです。
一方、順調に育った雌牛の角というのは、角に艶があり傷はありません。
上の写真は、慢性肺炎の牛の角です。角がカサカサしていて「輪っか」のような窪みが多数見られます。このように慢性肺炎や慢性腸炎などの大病を患った個体は角に現れてきます。
これは肥育牛でも同じです。
出荷前の肥育牛の角ですが左右の角に太い「輪っか」が2本見られます。
この牛は、生後15ヵ月齢前後で、尿石症による尿閉でバイパス手術をした牛です。
やはり強いストレスを受けた事が推測されます。
この牛の枝肉を検品に行ってみると、瑕疵がついていました。
どこにシコリがあるのか探してみましたが、割面にはありません。
結果は、「サーロイン」の部位でした。
枝肉を見慣れない人には分かりにくいのですが、サーロイン部位が白くなっているのが分かります。
この「シコリ」の原因は、はっきり分かっていませんが、強いストレスを受けた個体に多いような気がします。
角と同じで、枝肉にもストレスの後が残ることが多いような気がします。
やはり肥育のコツは、「ストレス」を与えないことだと思います。