肥育牛の起立不能 とは?

肥育牛の起立不能 とは?

先日、黒毛和種で生後28ヵ月齢の肥育牛がたてないとのことで往診依頼がありました。

到着すると、腹臥状態の牛を見て、「ピン!?」ときました。

畜主の方は、気付いていませんでしたが、左眼が腫れていました。

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さらに、体表のリンパも腫れているのに加えて、直腸検査をすると、内腸骨下のリンパの腫腫を確認したため、すぐに家畜保健所に病性鑑定を依頼しました。

そう、皆さんも分かるとおり、「牛伝染性リンパ腫(牛白血病)」です。

昔は、肥育牛の起立不能と言えば、股割き(股関節脱臼)や関節炎などの運動器病を除けば、脂肪壊死や尿石症がほとんどでした。

しかし、近年になり、肥育の配合飼料の質も良くなり、これらの代謝病が減ってきた代わりに急増しているのが、この牛伝染性リンパ腫です。

起立不能になる理由は、骨盤腔内のリンパ節が腫大し後肢に分布する神経を圧迫することです。

また、眼球が突出する原因としては、眼の奥のリンパ節が腫れることで眼球が前に飛び出てしまうのです。

この牛は、検査の結果、抗体陽性と異形リンパ球の著高を認めたため、牛伝染性リンパ腫の発生牛と診断され共済適用の廃用となりました。

もし、このまま死亡していたら何の保証を無く多大な損失だったと思います。

皆さんも、肥育牛の起立不能が発生した場合、頭の片隅に「牛伝染性リンパ腫」を類症鑑別として入れておくと良いと思います。